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【世界名車クロニクル】スズキ・エスクード(1988)

2015.03.22
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ライトクロカンの先駆けとなった1台

◯ジムニーのノウハウを活かした本格派SUV

スズキのSUVといえば、誰もが最初に想像するのがジムニーだ。世界でも珍しい軽自動車のSUVであるジムニーは、まごうことなくスズキを代表するSUVである。そのジムニーのノウハウを生かしつつ1.6リットルクラスのSUVとして作り上げられたのがエスクードだ。デビューは1988年で、当時のスズキとしてはもっとも大きなモデルとなっている。

ボディはモノコックではなく、本格的なフレームを用いたもの。フロントにはストラットと乗用車的なサスペションを採用したが、リヤは2本のトレーリングアームにセンターウィッシュボーンを組み合わせたリジッドで、オフロード走行にも十分耐えうるものとなっていた。

デビュー当時は3ドアのみの設定であったが、1990年になって5ドアが追加される。最初の3ドアはハードトップとソフトトップの2タイプのボディ、基本は乗用タイプであったが、ハードトップには商用モデルとなるバンも設定された。

搭載されたエンジンは1.6リットル。デビュー時は2バルブエンジンで82馬力と比較的ローパワーなものであったが、これも90年に4バルブに変更され100馬力までパワーアップが行われている。

ミッションは5速のMTを中心に4速ATや3速ATも用意された。4WD方式はコンベンショナルなパートタイム方式で、Hi-Lo切り替えが可能な副変速機も備える本格的なものが採用された。


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cartube.jp


◯街乗りでも非常に扱いやすかった

車重が1トン程度であったエスクードは街乗りでも非常に扱いやすいクルマだった。そして視線の高さも手伝って都内のゴチャゴチャした一方通行が入り組むような道でも扱いやすさを見せた。ボディ全幅が1635mmと一般的な5ナンバー車よりも狭く、全長もほぼ3.5mと短かったので、とにかく小回りがよく効くタイプのクルマだったのだ。そして、大きなタイヤと、2.2mという車格としては長めのホイールベースによって、前後のオーバーハングはかなり短くなっていたことも狭い道での運転を楽にした。ボディは角張っていて、見切りがいいのもその一端だ。

この小回りのよさと見切りのよさ、そしてボディの軽さは、ビックリするほど高いクロスカントリー性能も示してくれた。とくにリヤサスペションはしっかりと伸びて地面を捉まえてくれるので、荒れた路面であってもトラクションを掛けてグングン前に進める。車重が軽いから、無理して走っている感じがなくて、軽快に走れてしまうところがよかった。


◯ライトクロカンブームを作ったクルマ

エスクードはライトクロカンブームというひとつの時代を作ったクルマでもある。クロカン車というと、比較的大きいボディを持ち、街中では使いにくいというのが定説だった時代に、コンパクトで使いやすいサイズ、そして軽自動車のジムニーとはことなり高速道路でも十分に耐える性能を持っていたことがこのブームを支えた性能だった。

エスクードがデビューする前年には映画『私をスキーに連れてって』が公開されるなど、世間は空前のスキーブーム。今までは泥臭いクルマと見られていたクロカン4WDが、スキーへ行くときの頼りがいのある相棒として一気に人気を上げていった。

すでに時代はバブル景気に突入していたこともあり、200万円を切るエスクードの価格は気軽に買えるというレベルでとらえられていたこともヒットのきっかけとなった。また、この時代はまだ林道走行なども規制が緩くて、地元の方に迷惑をかけないレベルであれば、山のなかに分け入って行くことも比較的容易だった。ライトクロカンという軽い(車重がという意味ではなく)言葉でくくられてしまったエスクードだが、じつはハードなクロスカントリー走行もこなすヘビーデューティな部分も備えているクルマであった。その性能の高さは世界で認められ、パトロールカーとして使っている国も多く見られる。

諸星陽一(モータージャーナリスト)
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

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