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【世界名車クロニクル】マツダ・"FC3S" RX-7(1985)

2015.03.03
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ロードスターよりも先に「人馬一体」が注入されていた1台

◯サバンナRX-7の最終型、FC3S
サバンナの名が付けられたRX-7は、このFC3S型が最終型となった。サバンナRX-7は言うまでもなくロータリーエンジンを搭載したクーペスタイルのスポーツカーだ。

搭載されるロータリーエンジンは13B型ターボで、単室排気量654ccの2ローター。初期型に搭載されたものは185馬力、マイナーチェンジ後が205馬力、アンフィニと呼ばれる特別仕様が215馬力というパワースペック。ミッションは5速MTと4速ATが用意されていた。

ファイナルギヤ(最終減速比)は標準が4.100であったのに対しアンフィニは4.300と軽くなっていた。代わりにアンフィニの5速は重めに設定され燃費を稼ぐようになっている。

全長×全幅×全高は4335×1690×1270㎜とコンパクト。リヤハッチがガラスごと開くハッチバックスタイルをまとう。前後2席ずつの4名定員が基本だが、アンフィニはリヤシートを廃して軽量化するというスパルタンな設定となっている。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リヤがセミトレーリングアームをベースとしたマルチリンク。リヤはサスペションアームが取り付けられているハブを横Gによってたわませてトーをコントロールする機構が組み込まれていて、安定した走行を目指した。

13B型ロータリーエンジンはターボチャージャーの装着によって、トルクフルで力強い走りを可能にした。先代となる12Aエンジンを搭載したSA22時代は発進加速が弱いと言われたRX-7だが、FC3Sになってからはそうしたことはなく、力強い発進をものにした。現在のようにVSAなどは一切ない時代、クラッチをつないでフルスロットルにすれば、リヤタイヤをスピンさせながらガンガン加速していったものだった。


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◯完全なノーマルで乗られることはまずなかった

RX-7の加速がとくに魅力的だったのは3000回転を過ぎてから。ターボの過給がしっかりと効き「シュオオオオオーーーン」と音を立てながら加速していった。ロータリーエンジンはオーバーレブに強いということもあり、レブリミッターは装着されずにレッドゾーンに入る手前でブザーが鳴るようになっていた。ドライバーはタコメーターを見なくてもそのブザーの音を頼りにシフトアップしていけば、効率的に加速を稼げた。

RX-7の魅力の一端はピュアなハンドリングにあった。FDセブンがデビューした時代はまだまだ多くの後輪駆動モデルが世の中に存在したが、そうした多くのクルマのなかでもとくにピュアであったのがRX-7だ。

コーナーにむかって素直に減速し、ステアリングを切っていく、クルマがすっかり向きを変えたらそれに合わせてアクセルを踏んでいく。そんな当たり前の一連の操作では安定したコーナーリングが可能。少しでも速くコーナーを抜けるため、アクセルを開けるタイミングを早めていくと、リヤがブレイクする傾向になるが、それをコントロールしながら走ること、つまりドリフト状態に持ち込むで走りの楽しさ、つまり自分がコントロールしている楽しさを味わえる。

1989年のロードスターの登場と同時にマツダのクルマ造りの根底のコンセプトとなった「人馬一体(最初は人車一体と言っていた)」という考えは、少なくともこのFCセブンには注入されていたといえる。

FCセブンは完全なノーマルで乗られることはまずなかったクルマといえる。とにかくチューニングの対象となったクルマだ。基本はタイヤ&ホイール系、というのもタイヤサイズは205/60R15。今考えたらとんでもない細さといえる。

じつは筆者はFCセブンで富士フレッシュマンレースに参戦していた。このレースではタイヤは標準サイズでなければならなかった。240km/h近くからのフルブレーキングをこのサイズのタイヤで行うのは、かなりの緊張を要するものであった。

また、リヤサスペションに装着されるトーコントロール機構をキャンセルすることも流行した。トーコン装置は安定感を増す機構だが、アライメント変化が増えるのでドリフトコントロールなど積極的なハンドリングを行う場合は、ないほうが運転しやすいこともあったからだ。

もちろんエンジンのチューニングもかなり流行した。コンピューターチューンだけでもかなりの出力アップが行えたが、本体をいじることでとてつもない出力が得られたのもロータリーエンジンならではだった。


諸星陽一(モータージャーナリスト)
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

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