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【世界名車クロニクル】三菱・ギャラン(1987)

2015.03.15
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WRCで勝つために…

◯ハイパワー車の登場で若者に人気

1987年10月に登場した6代目三菱・ギャランは、2代目以来サブネームが取られ、スリーダイヤのエンブレムが復活した。
三菱伝統の逆スラントノーズを復活させたボディのサイズは、全長4560mm×全幅1695mm×1440mm(VR-4)で、5ナンバー枠に収まっている。1987年12月に登場したトップモデルのVR-4はWRC(世界ラリー選手権)の参戦車として開発。

搭載するエンジンは2L最強エンジンとうたわれた、2L直4DOHCターボの4G63型を搭載。そして駆動方式は4WDを採用。さらに4WS、ABSといったハイテク装備満載で、その圧倒的なパフォーマンスは若者から高い支持を受けた。

それ以外のエンジンは1.6L直4SOHC、1.8L直4SOHC、2L直4DOHC、1.8L直4ディーゼルターボなどがラインナップ。2Lターボは初期は最高出力205馬力だったが、最終的には240馬力までパワーアップされた。

新車時価格は96万~284万円と、かなり開きがあった。

◯90年代に加熱するパワーバトルの幕を開けた

現在では日産・GT-Rのように、市販車でも最高出力550馬力というクルマがある。しかし、90年代はまだ自動車メーカーの280馬力規制があり、各メーカーを代表するスポーツカーは、建前上の280馬力表示の裏側で激しいパワーバトルが繰り広げられていた。そのパワーバトルの口火を切ったのが、1987年に登場した6代目ギャランであることは間違いない事実だ。

80年代半ばまではエンジンの最高出力は単体で計測した「グロス」値がカタログに掲載されていた。グロス値は駆動系のロスがないため、高めのパワーが表示されていた。

しかし1987年を境に、カタログの最高出力や最大トルクは車体に搭載した状態でシャシーダイナモに載せて計測する「ネット」値への移行が進められた。それまで最強と言われていたクルマのカタログ数値上のパワーが下がる中、ネット値で堂々と200馬力を超えてきたのが、ギャランVR-4だった。

WRC(世界ラリー選手権)参戦車として開発されたギャランVR-4には、2L直4DOHCターボの4G63型エンジンを搭載。このエンジンは後にWRC参戦車としてギャランからバトンを渡されるランサーエボリューションにも搭載される三菱の誇る名機だ。初期は最高出力205馬力だったが、その後220馬力そして240馬力までマイナーチェンジ時にパワーアップした。1989年に日産・フェアレディZやスカイライン・GT-Rなどによって自主規制枠一杯の280馬力に到達するのだが、それまでは240馬力といえば、国産車の中では5本指に入るほどのハイパワーエンジンだった。

Z32のVG30DETTやR32GT-RのRB26DETTによって280馬力が達成された後は、トヨタからは2.5L直6ターボの1JZ、そして最強と言われた3L直6ターボの2JZ。三菱はGTOに搭載された3LV6ターボの6G72型をはじめ、ギャランに搭載された4G63型も280馬力まで高められることになる。

三菱・ギャランはWRCに参戦し、輝かしいキャリアをもっている。1997年にハイブリッド車であるプリウスが登場し、エコロジーという概念がクルマに芽生えるまで、繰り広げられたハイパワーバトル。三菱・ギャランは、そこでも歴史に名を刻んでいる。


萩原文博(自動車ジャーナリスト)
中古車情報誌「カーセンサー」の編集部に大学在学中から18年在籍し、フリーランスの編集者となる。新車、中古車を問わずお得な買い方を紹介するバイヤーズガイドなどを得意とする。常に中古車相場をウォッチし中古車相場師とも呼ばれている。

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