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【世界名車クロニクル】ホンダ・バラードCR-X(1983)

2015.03.15
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"タイプR"の祖となるFFコンパクトスポーツ

◯FFでもスポーツ走行ができることを証明

バラードスポーツCR-Xは3代目シビック、通称ワンダーシビックの姉妹車バラードの派生モデルとして1983年7月に登場。発売にあたって「FFライトウェイトスポーツ」と新しい言葉が作られた。

ボディサイズは全長が3675mm×全幅1625mm×全高1290mm。非常にコンパクトながらリアには後部座席が装備されている。とはいえ、大人4名が乗車してのロングドライブには厳しいものだった。

テールエンドを断ち切った形状のクーペボディは空気成功を低減できる。また、ABS樹脂とポリカーボネイトをベースとしたハイブリッド素材をフロントフェンダーなどに使用し、車両重量は1.5のiMT車で800kgに抑えられている。エンジンは1.5L直4SOHCと1.3L直4SOHCそして1984年11月にはレースで培ったテクノロジーを満載した1.6L直4DOHCのZC型エンジンが追加されている。ヘッドライトは前期型はセミ・リトラクタブルヘッドライトだったが、1985年9月のマイナーチェンジで固定式に変更された。新車時価格は99万3000円~150万3000円だった。

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◯少年ジャンプ『よろしくメカドック』で主人公がドライブして

バラードCR-Xが発売された1983年は、ハッチバックのコンパクトカーであってもFFへ駆動方式が変更されはじめた頃で、基本的にはFRの駆動方式が主流だった。

その影響もあってスポーツカー=FRという図式があった。その常識を打ち砕いたのが、このクルマだ。当時のFF車はアンダーステアやFF車特有のトルクステアなどがあり、非常に曲がりづらいクルマが多かった。しかし、バラードCR-Xはトルクステアを防ぐために等長のドライブシャフトを採用したり、サスペンションにも独自の工夫が施され、2200mmという短いホイールベースとの相乗効果でクイックなハンドリングを実現していた。

軽量コンパクトでバラードCR-Xは抜群の速さを誇ったが、チューニング雑誌でAE86カローラ/スプリンタートレノとのバトルが激化したのが、1984年に1.6L直4DOHCエンジンのZC型が追加されてからだった。

駆動方式は違うものの、同じ排気量で馬力はわずか5馬力違うだけで、4AGとZCの両エンジンは誌面を割いて比較された。不思議なことに関東圏では4AGの人気が高かったが、関西圏ではZCのほうが人気が高かった。

そしてバラードCR-Xの人気を確実にさせたのが、当時少年ジャンプに連載されていた『よろしくメカドック』だ。スーパーカーが数多く登場したサーキットの狼とは異なり、国産車のチューニングカーを取り上げ、その後のチューニングブームにひと役かったのは間違いないだろう。

その『よろしくメカドック』の主人公である、風見潤が全日本ゼロヨングランプリの参戦車として選んだのが、このバラードCR-X。しかし、漫画の中ではバラードCR-Xのエンジンは運転席のシート後方にレイアウトされるミッドシップへと変更。しかもターボまで装着し、外観は当時大人気だったシルエットフォーミュラー風に改造されていた。

FFをMRにするなんて一見むちゃくちゃのように思えるが、1985年にはダイハツ・シャレード・デトマソ926Rという、FFのクルマをベースにミッドシップカーが製作されているので、できないことはない。

サーキットの狼で主人公が乗ったロータス・ヨーロッパしかり、このバラードCR-Xしかり、漫画の主人公が乗ると性能以上に高い評価が与えられるようだ。


萩原文博(自動車ジャーナリスト)
中古車情報誌「カーセンサー」の編集部に大学在学中から18年在籍し、フリーランスの編集者となる。新車、中古車を問わずお得な買い方を紹介するバイヤーズガイドなどを得意とする。常に中古車相場をウォッチし中古車相場師とも呼ばれている。

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