33426

【世界名車クロニクル】日産・"R32" スカイライン GT-R (1989)

2015.02.12
9334

R32スカイラインGT-Rは、勝つために生まれてきたクルマだ。

◯アテーサE-TSがスカイラインGT-Rの戦闘力の高さ
日産・スカイラインの歴史のなかで燦然と輝くモデルがGT-Rであることは言うまでもないだろう。ここで紹介するスカイラインGT-Rは第2世代の初代モデル。第2世代GT-Rの共通点はRB26DETTという2.6リットルの直列6気筒ツインターボエンジンを搭載するところにある。

初代モデルはその型式からR32型と呼ばれが、R32というのはこの世代のスカイライン共通の型式で、GT-Rの場合はBNR32型が与えられた型式だ。この時代、標準のスカイラインは5ナンバーボディであったが、GT-Rはブリスターフェンダーの装着が行われ3ナンバーボディとなっている。またリヤには大型のウイング、フロントにはグリルの大型化などが行われている。インテリアは基本的にスカイラインに準じるが、シンプルで飾り気がないもの。リアシートもバケット状で乗車定員は4名となっている。

搭載されたRB26DETTは最高出力280馬力、最大トルク36.0kgmを発生。ミッションは5速のMTが組み合わされた。サスペンションは前後ともにマルチリンク式、駆動方式はアテーサE-TSという電子制御のフルタイム4WD方式。エンジンのハイパワーさもさることながら、このアテーサE-TSがスカイラインGT-Rの戦闘力の高さとなった。アテーサE-TSは0対100となっている前後トルク配分を50対50まで自動的に変化させることができる機構。

4
cartube.jp


◯勝つために生まれてきたクルマ、R32スカイラインGT-R
R32スカイラインGT-Rは、勝つために生まれてきたクルマだ。当時、全日本ツーリングカー選手権(いわゆるグループA)と呼ばれるレースがおこなわれていて、そのレースへの参戦を前提として開発が行われた。2.6リットルという中途半端な排気量もレースレギュレーションを考慮したもの。レースではターボが装着される場合、排気量は1.7倍するということになっている。このためレースではスカイラインGT-Rは、自然吸気4.5リットルとマシンと同一のクラスにカテゴライズされることになった。

スカイラインGT-Rは市場デビューした翌年の1990年にグループAに投入された。当初、ライバルはフォードのシエラやトヨタのスープラであったが、やがてライバルはスカイラインGT-R同士となっていく。R32型スカイラインGT-Rは、90年のグループAデビューから1993年にグループAレースが終了するまですべてのレースで優勝。29連勝というとんでもない記録を打ち立てた。

また、N1耐久レースシリーズ(現在のスーパー耐久の前身)にも参戦。その後のモデルも含めて、通算で60勝以上という圧倒的な強さを誇った。

4
cartube.jp


◯考え方を変えた瞬間、とんでもない速さを手に入れる
R32スカイラインGT-Rは、乗り込んだ瞬間から鋭い走りを予感させるクルマだった。コクピットに座ると目に入る非常にシンプルなメーター、走るための機能以外は極力廃したそのインパネは力強さを感じさせてくれた。

イグニッションキーをひねり、軽くブリッピングしてエンジンの様子を見る。左足を伸ばしてクラッチペダルを踏み込み、左手でギアを1速に入れる。クラッチペダルを戻しながらミートしはじめた感覚が伝わったら、アクセルペダルを踏みつつミートさせる。

その加速感は格別だ。タコメーターの針はあっという間にレッドゾーンに達する。すぐにシフトアップしていかなければ間に合わない。速度が上がるにしたがって、シフトアップのタイミングはゆっくりとなる。加速は別世界のものだ。4WDシステムを採用するスカイラインGT-Rの発進加速は力強いだけでなく、楽。たとえば、路面が濡れている状況でも、効率よくタイヤにトルクが伝わるので、力強い加速が可能なのだ。

また、このアテーサE-TSはハンドリングに革命的な変化を与えた。普通のクルマはFFでも、FRでも、4WDでもクルマが曲がり切ってからアクセルを踏んでいくのが当たり前だが、GT-Rに限ってはアクセルを踏んでいくことでクルマの向きが変わっていった。FRだったらアクセルを踏む状況でスピンになるような状況で、アクセルを踏んでいくとクルマがどんどん安定する。リヤが滑りだそうとするとトルクはフロントに移動するから、引っ張られるようドンドン前に前にといくからとにかく速い。

自分の持っていた運転に対する考え方を変えた瞬間、とんでもない速さを手に入れることができる。それがスカイラインGT-Rだった。

諸星陽一(モータージャーナリスト)
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

7
cartube.jp
6
cartube.jp




コメントを書く
このテーマでもっと動画をみる!
Backtotop